sometimes fine.

毎年撮っているけれども、今回は初めて桜に言葉が通じた気がする。
写真のことじゃないんです。
日曜日の午後、目を覚まして窓の外を見ると、
まだ桜は満開で、今日も撮れるなぁなんてカメラを持って外に出た。

ハラハラと花びらは散り加減ではあるけれども、まだまだ盛りの様相だった。
「今日も来たよ」
いつものように声をかけた瞬間だった。
それがこの写真。ひゅっと風が吹いたかと思うと、一斉に散り始めてしまった。

特設サイトでは時系列が逆なんだけれど、まばらに浮かんだ川面の花びらが、
どんどん積もっていく。
気のせいだろうけれど、それまで彼らが待っていてくれたような気もして、
僕は柵に手をかけてぼろぼろと涙をこぼしてしまった。

やっとの思いで「ありがとうな。さよならな」と声をかけた後のことは、
僕はたぶん、一生忘れられないと思う。
川の流れに逆行して、川面に浮かんだ桜の花びらが僕の前に集まってきて、
太く一列に並んだ桜の花びらは、もういちど僕の別れの言葉を聞くと、
あまりにも力なく川の流れとともに、河岸へ押し寄せられていってしまった。

今も泣けてくる。心に穴があいた気がする。
来年、彼らの子孫がやってきたとき、もう少し写真が上手くなっていれば
いいのだけれど。